「民族衣装を自分で着られない国は日本くらいなものだ」などと、一昔前に盛んに言われていましたが、今ではもうそんな言葉を聞くこともなくなりました。それは自分で着られる人が増えたからではなく、すでに昔のように自分で着ることを求めない人が多くなったということでしょう。 現在でも、七五三や成人式、結婚式などの人生の大きなイベントの時には、晴れ着として和服は特別な意味を持っています。そんな時には、お祝いされる本人も、周りの人たちも一世一代の装いとして、振袖や留袖、訪問着などの第一礼装をプロの着付師さんにビシッと着せてもらいます。 また、夏の花火大会や納涼会などで女性が涼しげな柄の浴衣を着て、素足に下駄ばきという和の装いもあります。浴衣は、数十年前まではお風呂上りに下着のうえからサラリと着て、そのまま寝間着にもなるものでしたので、現在でいうところの部屋着やパジャマのような感覚ですが、それでも立派な和服ではあります。 第一礼装と寝間着。この両極端な装いは現在でも健在で、その時々に合わせて着ている方も多いのではないでしょうか。 そこで注目したいのが、中間的な着物である「小紋」です。小紋をもっと活用できたら、和服の幅がぐっと広がってきます。小紋は同じ柄を連続的にプリントしてある和服のことで、原則的には普段着とされていますが、柄によっては格調高く着られるものもあります。金箔などをつかった格調高い柄であれば、軽めの袋帯を合わせてガーデンウエディングくらいなら出席できちゃいます。 さらに、小紋の柄のなかでも便利なものとして、江戸小紋があります。江戸小紋の特徴は小さな柄がびっしりプリントされているので、少し離れて見ると無地に見えることです。細かい模様の鮫小紋の背中に、ひとつ紋が入れてあれば、帯を変えるだけで様々な席に出席することが可能です。お子さんの入学式や七五三などには袋帯を合わせて出席できますし、黒っぽい名古屋帯を締めれば、法事などにも対応できます。 嬉しいことに、今では、自宅で洗える着物というものがあります。絹ではなくポリエステルなどの化学繊維ですが、これがなかなか捨てた物ではありません。訪問着や留袖に化学繊維を使うのはためらわれますが、格式張らない小紋ならば、和服の入門編として持ってこいでしょう。 この小紋をもっと気軽に使えるようになれば、和服を自分で着る機会も増えますし、その都度、洋服を買うよりも経済的です。そして何より和服の持つ雰囲気が、日本人にとってはやはり上品だと感じるものですから、和服を着ている人が多く集まると、その場が華やかになります。 小紋の着物で和服を楽しんでみませんか。
ですから、少しでも節約したい人は、レンタル袴のみ利用していました。ちなみに、セットでの利用の方が幾分お得になっていました。
この暑苦しい季節の和服と言えば、一にも二にも浴衣と言うのが一般人のイメージするところだと思います。しかし、たまに年配の女性とかで着物を着ている方もいますね。「暑くないのかな?」という疑問を持ちますが、そこはさすがに湿度の高い夏を昔から経験している日本人が愛してきた和服ですから、夏用の着物も数多くあるのが実際のところです。ただ、今の暑さは昔のそれとは比較にならないレベルですから、対応出来るのかなという感覚を持っている人も多いでしょう。そこの実情を考えてみたいと思います。 着物の生地には厚さや裏地のあるなしで、袷(あわせ)、単衣(ひとえ)、薄物の3種類があるとされ、晩春と初秋が単衣、盛夏が薄物、その他の季節が袷というのが着こなしの常識のようです。当然暑い時期は薄物となるのですが、薄物の生地には「上布(じょうふ)」「紗(しゃ)」「絽(ろ)」の3種類があって、いずれも織りの密度が粗く、風通しの良い透けた生地のようです。 「紗」は特に通気性を重視し、折り目の隙間が大きい。「絽」は紗よりやや「透け感」が低い(つまり通気性も若干落ちる)。上布は折り目の隙間よりも麻を使うことで、素材的な通気性を重視するもの。 というわけで、きちんと猛暑にも対応出来るものがあるというのが事実のようです。またいくら生地が涼しさを演出するとは言っても、夏の厚さで汗をかくのは避けられない以上、洗濯できればなあと思うところですが、今は選択可能な夏着物も多いようですので、意外と「使えるな」という感想を持ちました。