この暑苦しい季節の和服と言えば、一にも二にも浴衣と言うのが一般人のイメージするところだと思います。しかし、たまに年配の女性とかで着物を着ている方もいますね。「暑くないのかな?」という疑問を持ちますが、そこはさすがに湿度の高い夏を昔から経験している日本人が愛してきた和服ですから、夏用の着物も数多くあるのが実際のところです。ただ、今の暑さは昔のそれとは比較にならないレベルですから、対応出来るのかなという感覚を持っている人も多いでしょう。そこの実情を考えてみたいと思います。 着物の生地には厚さや裏地のあるなしで、袷(あわせ)、単衣(ひとえ)、薄物の3種類があるとされ、晩春と初秋が単衣、盛夏が薄物、その他の季節が袷というのが着こなしの常識のようです。当然暑い時期は薄物となるのですが、薄物の生地には「上布(じょうふ)」「紗(しゃ)」「絽(ろ)」の3種類があって、いずれも織りの密度が粗く、風通しの良い透けた生地のようです。 「紗」は特に通気性を重視し、折り目の隙間が大きい。「絽」は紗よりやや「透け感」が低い(つまり通気性も若干落ちる)。上布は折り目の隙間よりも麻を使うことで、素材的な通気性を重視するもの。 というわけで、きちんと猛暑にも対応出来るものがあるというのが事実のようです。またいくら生地が涼しさを演出するとは言っても、夏の厚さで汗をかくのは避けられない以上、洗濯できればなあと思うところですが、今は選択可能な夏着物も多いようですので、意外と「使えるな」という感想を持ちました。