先日、10数年ぶりに土鍋を購入しました。 と言っても、一人鍋サイズの土鍋です。 最近、気温が一気に下がってきたせいか、暖かいものをフーフー言いながら食べたくなったのです。 土鍋をカゴに入れ、一緒に今晩のメニューを考えます。 そうだ、久しぶりに鍋焼きうどんにしよう、鶏肉とお餅も入れて食べようと、買い物しながら次第に盛り上がってきました。 鍋焼きうどんの材料に抜かりがないかを確認し、 会計を済ませはやる気持ちを抑えながら家路を急ぎます。 すでに頭の中は、土鍋の中でグツグツしている鍋焼きうどんでいっぱいです。 家に着いて家事を済ませ、そろそろ晩御飯にしようと買った土鍋を箱から取り出しました。 取り扱い説明書らしき用紙が2枚ありましたが、何やら赤字でしかも大文字で「重要・ご使用前に必ずお読みください」とあります。 読み進めていくと、まずは使用前に「目止め」とやらを必ず行え、とあります。 「目止め」って?と思っていると、もう1枚の用紙に目止め処理の方法が詳しくあります。 要するに陶器である土鍋には無数の穴が空いている状態であるために、その穴を埋める作業をしなければいけないってことのようなのです。 方法は、米のとぎ汁か小麦粉を入れた水で10〜20分ほど煮る、でそのまま覚ます、とあります。 フンフンそれだけで良いのね、と思っていたら、煮たものを捨てた後は約1晩しっかり乾燥させる、とあります。 えーっ、一晩ってすぐ使っちゃダメなの?とそれまで盛り上がっていただけに、怒りに似た感情が芽生えてきます。 今食べたいんだもの、そんな事しなくたっていいよね、と囁いてくる声が聞こえてきます。 もう一方で、だから前に使っていた土鍋は2〜3年くらいでひびや亀裂が入っていたんじゃないの?という声も聞こえてきます。 そうなのです、それまでも土鍋を購入したことはあったのですが、どれも寿命が短くそんなものなんだと思い込んでいたのでした。 そんなお手入れが必要だったとは知らず、今までちゃんと説明書を読んでいなかったようなのです。 別にしなくても良いのかもしれませんが、せっかく買ったのですから今度はちゃんと手入れして長く使いたいとも思い、葛藤の末、目止めをすることにしました。 これでより一層美味しくなるのだからと自分に言い聞かせ(「目止め」は味には関係ありませんが)説明書きにある通りに目止めを行いました。 そして一晩乾燥させた土鍋で食べる待望の鍋焼きうどんは格別の旨さでした。 物は大切に使わなくては、と思った出来事でした。